問題は、実在すること以上に「認識」することが重要な意味を持つ。問題を認識しなければ、問題解決のためのアクションが取れないからだ。
また、問題を認識しなければ、組織の生産性は上がらない。たとえば、目標がわずかな差で未達に終わったときのように、「明確にネガティブではない」場合。「まあいいか」と感じる人もいるだろうが、その目標を設定したのにはそれなりの理由があったはずだ。その目標が妥当なものであったなら、達成意欲の欠如やPDCAの実行の甘さ、あるいはコンティンジェンシープラン(緊急時対応計画)の不適切さなどを問題と認識し、解決を図る姿勢が重要である。
「失敗した会社では、多くの社員はずっと前から問題を知っている」――つまり、企業はある日突然経営状態が悪化して倒産するわけではない。必ずその予兆はある。そして多くの従業員はその原因を知っている。
原因が分かっていようと、経営資源の制約などからすぐに対応できないこともあるだろう。だが手遅れになる前にその予兆に気づき、皆で議論してつぶしこんでいく必要がある。
原因がわかっているにもかかわらず、それを本気で議論しないこともある。「日本人はファクトから目を背ける」とよく言われるが、好ましくないファクトを見つけたら、それを報告し、議論する姿勢をもたねばならない。若手には特に、この姿勢を身につけてほしい。
「『本質的な問題』と『単なる事象』を区別することが大事」――この言葉はコンサルタントの大前研一氏のものだ。世の中の出来事や変化は突き詰めれば何かしらの問題、あるいはその原因の萌芽とも言えよう。だが経営資源や時間は有限だ。だから、どれが無視してしまうもので、どれが問題解決しなければならないものか、しっかり見分けなければならない。
では、どうすれば本質的な問題を見分けられるのか。基本となるのは、ロジックツリーなどを用いて細分化を行い、重要箇所にエネルギーを割くことだ。
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