新型コロナウイルスの大流行により、世界は混乱のただ中にある。日本は初期段階で感染封じ込めに失敗し、日本の総理大臣である原太郎も感染により命を落とした。後任は容易に決まらず、政治家や感染症の専門家などがめいめい勝手に意見を述べ、日本は国としての統率を失いつつあった。
そこで日本政府は最後の策を採った。過去の偉人たちを科学の力で現代に蘇らせ、その力によってこの窮状をしのごうとしたのである。
国の危機にこそ、国民からの「信頼」が必要である。感染症により、国が未曾有の危機に陥った今こそ、国民の信頼を取り戻すチャンスだと日本政府は考えた。偉人たちに託されたミッションは、「コロナを収束させ、国民の信頼を取り戻す」こと。
今、最強内閣が始動する。
2020年4月1日。世界初のAIと最新ホログラム技術で復活した歴史上の偉人たちで構成された最強内閣が発足し、その最初の閣議が行われた。
それぞれ異なる時代からやってきた閣僚たちは、互いにどう向き合ってよいか、探りあうような雰囲気である。復活した偉人たちにはあらかじめ、同僚たちの経歴や事績、能力などがインプットされている。偉人たちの間には子供を殺されたり、子孫を滅ぼされたりと、様々な因縁がある。このような因縁については、歴史上の事実としての情報はインプットされているものの、それによって恣意的な思考や行動が生まれないようプログラミングされている。
総理大臣・徳川家康、官房長官・坂本龍馬が閣議を進める。まず議題となったのは、緊急事態宣言の発令である。幕末の天才医学者・緒方洪庵は、コロナそのものを今すぐに根絶することは現代医療をもってしても不可能だが、人流を抑制して感染者を減らすことができれば、医療崩壊を防げると語る。それを受け、厚生大臣・徳川綱吉はまずは病の勢いを止めることが肝要だと進言する。
家康は緊急事態宣言の発令を決め、国民に1ヶ月間の外出禁止を命じる考えを示した。経済産業大臣・織田信長はこれに対して、たった1ヶ月の外出禁止にいかほどの効果があるのかと異議を唱える。
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