まず生成AIとはなにかについて確認していこう。生成AIは、新たに文章や画像、音声などをつくることができる人工知能技術の一種だ。そこにはディープラーニングや機械学習といった技術が使われているが、一般的にそのアプローチは識別的なものと生成的なものにわけられる。
識別モデルとは、画像のようなデータを文字通り識別するAIである。顔認証やニュース記事の分類といったタスクを行うものが該当する。一方で生成モデルは、データが生み出される背後にある構造や表現を学習し、自身が学習したデータと似たデータを生成できるAIだ。
ところが技術やサービスが広がっていく過程で、生成AIをこの狭い定義だけで考えることは難しくなってきている。そのため本書では、生成AIの本体であるニューラルネットワークに加え、その出力を起点にいくつかのツールや機能を組み合わせて構成されるシステム全体を「生成AI」と呼称する。
たとえばChatGPTの言語を生成する本体部分は生成モデルだが、ChatGPTというシステムは対話形式のインターフェースや拡張機能を含めて構成された「生成AI」であるといえる。
生成AIの背景には「ディープラーニング」という技術がある。
人間の脳では、ニューロンが他のニューロンから受け取った電気信号をシナプスの結びつきの強さで調節し、また別のニューロンに電気信号を流すという動作が行われている。人間は学習によって、このニューロン同士のつながりの強さを調節していると考えられている。
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